●オカヤドカリの飼育方法まとめ - るりおかかの気まぐれブログ
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2017/12/07

オカヤドカリの飼育方法

水槽のセッティング
私は、水槽・砂・流木・水入れ・温度計を普段は以下のようにセッティングしています。
オカヤドカリ:脱皮?1
オカヤドカリ:脱皮?5
しかし、これでは不完全です。水入れを真水用と海水用の2種類を用意するのが望ましいですが、ついつい面倒くさくて真水用のみをセッティングしています。また、これでは砂の量が少ないです。いつでも脱皮できるように常に沢山の量を入れておくのが望ましいです。しかし、砂が多すぎると大型個体だと脱走しますので気を付けなければなりません。


冬場のセッティング
オカヤドカリ水槽:ウォーターバス設備
ウォーターバス設備をセットします。真冬の神奈川県では、観賞魚用ヒーター27℃でオカヤドカリ水槽内は23~25℃に保たれています。地域や家の事情等でその設定温度は変わると思いますので、調節してみてください。


脱皮用のセッティング
オカヤドカリ:脱皮セッティング2
オカヤドカリは砂に潜って脱皮します。砂の中で脱皮室を作るので、砂を深くする必要があります。左側を湿った砂を多めにし、右側を乾いた砂を少なめにし、左側に潜るように誘導します。これでほぼ確実に左側に潜ります。冬場であれば、さらにウォーターバス設備をセッティングします。



日常の世話
 オカヤドカリの世話は、温度の確認・砂の湿り具合の確認・水とエサやり・糞掃除・行動の確認を行います。
 温度が25℃前後に保たれているか確認します。温度が低ければ、ヒーター(ウォーターバス設備)を設置し、温度を調節します。30℃を超える夏場の暑いときは・・・私の場合は部屋の窓を開けて涼しくします(それでも暑いときは耐えてもらうしかないのかな~)。
 砂の湿り具合は、表面が乾燥していて、少し掘ればしっとりしているくらいがベストです。表面から乾いてくるので、表面が乾いていても安易に霧吹きをせず、砂をかき混ぜるといい具合になることも多いです。それでも乾きすぎていたら霧吹きをします。湿りすぎてぐちょぐちょの場合は砂の交換が必要になります。
 水入れの水(真水・海水ともに)は毎日取り換えます。エサは、どのくらいのスパンで与えればよいのか謎ですが、私は毎日与えています。ウチのオカヤドカリは、サクラの落ち葉が主食で、毎日交換しています。それ以外のエサは2日に1度与えています。雑食性なので、様々な物を食べます。お菓子類は極力避け、野菜・魚・果物等をコンスタントに与えるとよいでしょう。
 オカヤドカリは糞をします。毎日ざっとでいいのでピンセットなどで取り除きましょう。
 オカヤドカリの行動をしっかり確認する必要があります。オカヤドカリは、おなかがすいたときにはエサを探し、水が欲しければ水場を探します。それ以外は基本的には何もしません。あちこち動き回ったり砂を荒らしている場合は、水槽内の環境が適切でない可能性があります。その場合は、温度・砂の湿り具合・衛星面等を確認してみてください。水槽内の環境が適切であっても、砂を荒らす・潜ろうとするような場合は脱皮の兆候です。速やかに水槽を脱皮用のセッティングに切り替えてください。
 オカヤドカリの脱皮は、砂中で脱皮室を作って行われ、脱皮が終わるまで潜ったまま出てきません。その期間は2週間~3か月程で大体1か月ちょっとの場合が多く、大きい個体ほど脱皮に時間がかかるようです。脱皮時の世話は、砂を乾燥させないように管理することに尽きます。砂は表面から乾燥しますので、表面が少し乾いたら霧吹きをします。長期間霧吹きをしないと、砂の奥まで乾燥してしまい、脱皮室が崩れてしまう恐れがあります。こまめに少しずつ霧吹きするのがいいでしょう。また、濡れすぎにも注意しましょう。


大掃除
 1~2年に1回は大掃除をするといいでしょう。主な作業は砂洗いです。水で砂を良く洗います。びっくりするくらい糞や食べ残しが大量に出てきます。水を切ってから、砂を鍋に入れてグツグツジュージューと蒸発させます。これがオカヤドカリ飼育で一番大変です。まあ、年1回だし・・・いいかな?



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2017/12/03

オカヤドカリの飼育に必要なもの

1.飼育容器:広すぎず、狭すぎず、理想の容器は?
 オカヤドカリの飼育には、容器が必要です。容器は、小さすぎると容器内の温度・湿度変化が激しくなってオカヤドカリが弱ります。また、オカヤドカリは寒さに弱いので冬場の保温が必要になりますが、容器が大きすぎると保温が大変(温めきれない)になります。私は以前、35cmの虫かごで6年間飼育していましたが、虫かご内の温度・湿度変化が激しく、管理がかなりきつかったです。その後、虫かごよりも大きい水槽に切り替えたら、ものすごく飼育が楽になりました。水槽選びは、オカヤドカリのサイズ、オカヤドカリの頭数(私は複数飼育はおすすめしません)、冬場の保温、この3つのポイントをどのように折り合いをつけるかがキーとなるようです。私は、「金魚のお部屋ブラックL GF-BLK(39.8×25.4×28cm)」の水槽をおすすめします。この水槽であれば、1匹飼育であればオカヤドカリのサイズを選ばず、水槽内の保温も十分可能であり、とても折り合いがとれていると感じています。また、私が行っている保温方法には、絶対これでなければいけません(オカヤドカリ冬越し奮闘記:ウォーターバス編)。

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2.砂:よく使われるサンゴ砂の評価は?
 オカヤドカリの飼育には砂が必要です。オカヤドカリの足は砂上を歩くのに適しており、また、砂に潜って部屋を作って脱皮しますので、適度に湿らせておく必要があります。私は海の砂浜で採取した「珪砂」を使用しています。珪砂は濡れると色が変化しますので、湿っているかの判断が容易です。砂粒の大きさは、粗すぎず細かすぎず、1mm程度がいいようです。砂が細かすぎる場合は、ふるいにかけます。海に行ったら、砂をふるいにかけてから持ち帰るといいでしょう。ちなみに私はサンゴ砂をおすすめしません。サンゴ砂の場合、オカヤドカリが脱皮時に砂に潜り脱皮室を作る際、比重が軽すぎるため、脱皮室が崩れてしまう恐れがあります。また、サンゴ砂は、濡れても色が変わりませんので、そこが湿っているのか乾燥しているのかの判断が難しいです。とても美しいサンゴ砂ですが、機能性はイマイチのようです。そのため、私は浜辺にある珪砂をおすすめします


3.水入れ
 オカヤドカリは水を飲み、時折水浴びもします。そのため、水入れが必要になります。オカヤドカリがストレスなく浸かれるように、浅めの水入れが良いと思います。ジャムなどの容器の蓋はおすすめしません。容器の蓋は、つるつる滑るものが多いためオカヤドカリが水を飲む(水浴び)際のストレスになるのが明らかに見て伺えますし、軽いためオカヤドカリにすぐにひっくり返されてしまいます。甲殻類が苦手とする金属製のものは、もってのほかです。私は、爬虫類用の水入れ「スドー レプティボウル2 SF」をおすすめします。表面がざらざらしているためオカヤドカリが歩きやすいこと、適度な深さのためオカヤドカリのサイズを選ばないことなど、100点満点に近い水入れなのではと思います。

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4.隠れ家
 オカヤドカリは夜行性で、昼間は隠れ家で過ごします。野生のオカヤドカリは、昼間は草むらや石の下にいます。それを再現することはとても重要だと思います。私は流木を隠れ家にしています。オカヤドカリが隠れられる空間がある理想の流木を海の砂浜でみつけました。流木は、通販・ペットショップでも販売していますが、以外といい流木を見つけるのは難しい気がします。流木以外ですと、「スドーの爬虫類用のシェルター」が安定していいと思います。海に行って流木を探すのもまた楽しいと思います(^^)

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5.霧吹き
 オカヤドカリは鰓呼吸のため、鰓が常に湿っていなければならないので、乾燥に弱いです。砂はだんだんと乾燥してきます。そのため、時々霧吹きが必要になります。園芸用の安いもので十分です。水粒の大きさを調節できるものがいいですね。


6.ヒーター:これが新設備!
 南国に生息するオカヤドカリは、寒さに弱いです。15℃以下が続くと死んでしまいますので、水槽をヒーターで温めなければなりません。また、オカヤドカリは陸に住み、乾燥に弱いです。そのため、熱伝導率の悪い空気を乾燥させないで温めなければなりません。保温と保湿の両立はとても難しいです。保温目標は25℃。多くのオカヤドカリの愛好家が、ピタリ適温が良く使用されていますが、保温している部分付近は温まるもののジリジリ乾燥してしまうし、遠ければ全く保温されていないし、これではオカヤドカリにかなりのストレスを与えてしまいます(→オカヤドカリ冬越し奮闘記:ピタリ適温編)。そこで、今回紹介するのが「ウォーターバス設備」です。大きい水槽に水を張って観賞魚用ヒーターで水を温め、小さい水槽(飼育水槽)をそこに入れて温める方法です。そのウォーターバスに適した2つの水槽は、金魚のお部屋ブラックL GF-BLK(39.8×25.4×28cm)ジェックス マリーナ MR450B(45×30×30cm)です。この設備にすると、温度が極めて安定し、乾燥もしづらく砂も適度に湿り(表面が少し乾燥し、少し掘ればしっとり)、ほぼ理想の環境が維持できます。冬場はこれで決まり!

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7.貝殻:意外と入手困難?
 オカヤドカリは大きくなるとより大きな貝殻が必要になります。野生のオカヤドカリは様々な形の貝殻に入っています。一見するとどんな貝殻でもいい様な気がしますが、野生では貝殻に制限があるため、多くのオカヤドカリはそれに好んで入っているわけではなく、仕方なく入っていると考えられます。理想の貝殻はどのようなものでしょうか。それは、適度な重さがあり、奥まで広いものをオカヤドカリは好むようです。タマガイ(ツメタガイ等)・アフリカマイマイなどはイマイチで、サザエ系の貝殻を好むようです。また、呼吸・脱皮のために貝殻内に水を溜めるため(オカヤドカリとは?)、穴の開いた貝殻はNGです。こればかりは通販で買うことはおすすめしません。実際に手にとってよく見てから入手した方がよいです。入手する方法ですが、海に行って採集するか、稀にペットショップにも置いてあることもあります。私は、「江の島(江の島入口から江島神社に向かう途中の坂にある多数の小店)」で入手しています。店を全部回れば、オカヤドカリの一生分の貝殻を一挙に入手することが出来ます。貝殻入手に困っている方、観光がてらに是非是非行ってみてください(^^)


2017/12/01

オカヤドカリとは?

オカヤドカリとは?
 オカヤドカリとは、名前の通り丘に住むヤドカリです。日本では、南日本、小笠原、琉球諸島から南洋の島々に分布し、海岸の茂みや石の下に住んでいます。幼生期は海で浮遊生活をし、ヤドカリの姿になってからは陸で生活するようになります。夜間に活動し、産卵時以外は海水に入りません。地面に落ちた果実や植物の花や葉、浜辺に打ち上げられた魚、人間の残飯など何でも食べる雑食性で、海岸の有機物を何でも食べることから「浜辺の掃除屋」と呼ばれたりもしているようです。日本には、6種類が生息しており、その全てが天然記念物に指定されています。そんな天然記念物のオカヤドカリですが、個体数が多いため(ただし減少中です)、特定の販売業者による採集が認められており(採集量に制限があります)、一般の方でも飼育が可能となっています。以前は、オカヤドカリの飼育は困難を極めたようですが、多くの愛好家たちの努力により、繁殖まで成功するに至りました。オカヤドカリの寿命は20~30年といわれています。飼育目標として「30年」、頑張っていきたいですね。


形態・背負っている貝殻の役目
 オカヤドカリは、貝殻の外に出ている部分である前甲や足は石灰化して硬くなっており、後甲や腹部は柔らかく貝殻に入ることで守られています。第1脚は、食事や喧嘩に、また、左はさみで貝殻に蓋をする役目もあります。第2脚、第3脚は歩くための足として使用し、貝殻に入った小さな第4脚と第5脚で貝殻を支えています。貝殻を背負うことで、体の柔らかい部分を保護し、また、殻の中に水を蓄える役割もしています。オカヤドカリはもともと海で生活していたヤドカリから分化したもので、その名残で鰓呼吸をしております。そのため、鰓を常に湿らせておく必要があります。また、呼吸において鰓の機能が不十分であり、水を湿らせた腹部で皮膚呼吸も行っており、貝殻内の水は定期的に交換しなければなりません。そのため、オカヤドカリにとって貝殻は生きるための大変重要なアイテムといえます。
オカヤドカリ:体の構造




生活史
 オカヤドカリの生活史はとても変わっています。メスの貝殻内で卵として生まれ、孵化直前になるまで発生が進みます。そして、メスが海に幼生を放します。孵化直後は、ゾエア幼生として生まれ、数回の脱皮を経て姿を変えていきます。グラウコトエ幼生になるとオカヤドカリの形にかなり近づき、さらにもう1回の脱皮を経て稚ヤドカリになり、自身のサイズに合った貝殻を見つけて背負い、陸上生活を始めます。稚ヤドカリは海直近の浜辺で生活し、大きくなるにつれて内陸側で生活するようになります。そして、繁殖の時期になり、交尾・産卵をして、幼生の孵化が近づくと、メスが幼生を海に放します。
オカヤドカリの生活史




オカヤドカリの種類
 日本には、全6種のオカヤドカリが生息します。日本で一番多くみられるのが、ムラサキオカヤドカリとナキオカヤドカリで、ついでオカヤドカリとなっています。ペットショップや祭りの夜店で見られる大半がこの3種です。稀にオオナキオカヤドカリ、コムラサキオカヤドカリが混じることがあるようです。サキシマオカヤドカリは日本ではかなり希少なため、まず見ることはないでしょう。


 ・オカヤドカリ
 海岸近くの林より内陸側の林に住みます。繁殖のとき以外は、海岸近くで見かけることは稀です。内陸で生活するため、陸生のアフリカマイマイの殻を利用することが多いようです。小さいころはカラーバリエーションが多く、他の種類との見分けがつきにくく、他種とは目柄の形態、色で見分けることが出来ます(目柄が棒状、黒いことが多い)。大きくなるにつれて濃いオリーブ色になってきます。日本で一番大きくなるオカヤドカリです。
オカヤドカリの種類:オカヤドカリ



 ・ムラサキオカヤドカリ
 海外での採集報告がなく、日本固有種の可能性があります。日本でもっともふつうにみられます。小さいころはオカヤドカリ同様カラバリが多く(白いことが多い)、成長するにしたがって、紫色になります。目柄の形態がトウモロコシ状で白いため、オカヤドカリと区別することができます。
オカヤドカリの種類:ムラサキオカヤドカリ



 ・ナキオカヤドカリ
 紫・白・赤・黒等、非常にカラバリに富んでおり、一見すると、全く他の種類と区別がつきません。目柄がムラサキオカヤドカリと同様トウモロコシ状で白いのですが、目柄の下の部分が黒いため、ナキオカヤドカリだと区別できます。大きくなると薄いオリーブ色になるようです。海岸近くの砂浜とアダンの林に住み、日本で最も小さいオカヤドカリです。
オカヤドカリ種類:ナキオカヤドカリ



 ・オオナキオカヤドカリ
 海岸近くの林に住み、日本では個体数が少なく準絶滅危惧種に指定されています。目柄が、海のホンヤドカリのように棒状であるため、多種と容易に区別することが出来ます。そのため、稀に「レアもの」として販売されていることがありますが、それは悪質です。海外では個体数が多く、世界的にみれば全く珍しい種ではありません。くれぐれも騙されないように気を付けましょう。
オカヤドカリの種類:オオナキオカヤドカリ



 ・コムラサキオカヤドカリ
 マングローブ林の河口域に生息します。体色は、小さいうちは赤色で、大きくなると濃い紫色で和名の由来となっています。チョウセンサザエの殻をよく利用するようです。日本では個体数が少なく、準絶滅危惧種に指定されています。
オカヤドカリの種類:コムラサキオカヤドカリ



 ・サキシマオカヤドカリ
 体全体が赤いオカヤドカリです。八重山諸島の黒島で1個体が発見されたあと、石垣島で2個体発見されました。小笠原諸島にも生息しているようです。個体数が少なく、日本では絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。日本では数匹しか確認されておらず、無効分散の可能性が高いといわれています。
オカヤドカリの種類:サキシマオカヤドカリ




オカヤドカリ流通の歴史
 「あまん」(「資源としての採取」当山昌直)によると、オカヤドカリがペットとして本土にお目見えしたのは、昭和9年頃からで、東京の坂庄太郎という人物が採取、販売したのが始まりだったそうです。戦後になるとオカヤドカリの存在もしだいに知られるようになり、流通する量も増加の一途をたどりました。昭和42年(1967)には10トンを超え、昭和57年(1982)には最盛期の56トン以上の取引量を記録しました。しかし、気がつくとかつては無尽蔵にいたオカヤドカリも各地で減少し、今現在も減少の一途をたどっています。飼育されている方、これから飼育しようと思われている方、そんな事情があるのだと頭の片隅に入れていただければと心から願います。


2015/02/02

オカヤドカリ冬越し奮闘記:新設備ウォーターバス編

 オカヤドカリの飼育には、保温(冬場25℃)+保湿が必要です。パネルヒーターピタリ適温では、冬場の保温の苦労は絶えませんでした(オカヤドカリ冬越し奮闘記:ピタリ適温編)。そのうえ、さらに寒い豪雪地域:秋田県に引っ越すことになってしまいました。そこで、新設備「ウォーターバス」を思いつきました。
 ウォーターバスとは、加熱器具の一つで、金属製器具に満たした水を加熱し、その中で物体を間接的に加熱する、というものです(大辞林 第三版より)。私が大学の海洋生物関連の研究室にいた頃、貝の幼生を飼育していたときに用いた方法です。水槽に水を張り、観賞魚用ヒーターで必要温度に保温し、その中に飼育ビンを投入して幼生を飼育していました。恒温に保つのには非常に効率的な方法です。この方法をオカヤドカリ飼育に活用できないかと思いました。
 大きい水槽に水を張って保温し、その中にオカヤドカリ飼育水槽を投入して温める方法でいけるのではないか。私は、その2つの水槽の組み合わせを探し歩きました。見た目の面、蓋を開け閉めするとき等の利便性を考えますと、2つの水槽のサイズ差はできる限り少ない方がいいようです。そして行き着いた水槽が、金魚のお部屋ブラックL GF-BLK(39.8×25.4×28cm)ジェックス マリーナ MR45OB(45×30×30cm)でした。

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 45cm水槽に水を張り、観賞魚用ヒーターで温めます。そこに39.8cm水槽(オカヤドカリ飼育水槽)を入れます。張る水の量が多過ぎると飼育水槽が浮いてくるので、浮くギリギリまで水を張ります(水槽全体に水を張るのが理想ですが、それでも効果十分です)。真冬の秋田県でも、ヒーターの設定27℃で、飼育水槽は24~25℃に保つことができました。
この方法のメリットは大きいです。

●乾燥しづらい:ピタリ適温とは比べ物にならない保湿力。霧吹きはほとんどいらないため、一週間程度の長期外出も問題ありません。
●脱皮で一番重要な「砂」がキッチリ温まる:ピタリ適温を水槽側面、蓋裏に貼った時は、砂が温まっているか不安でしたが、この方法だと砂全体がキッチリ温まります。
●砂の湿り具合が絶妙に調整:表面が乾燥し、少し掘ればしっとりとする。まさに私が求める理想の環境に保たれます。
●温度が極めて安定:部屋の温度変化にほとんど影響されずに水槽内の温度を一定に保ってくれます。


その一方でデメリットは、
●設置、撤去が面倒くさい
くらいです。設置は秋、撤去は春、それぞれ年一回だけなので、私はそれほど負担に感じていません。

 また、温度が安定するためなのか、冬場でもオカヤドカリの食欲が落ちなくなり、そのためか成長も早くなった感じがします。それに、ピタリ適温を使用していた時のように水槽をタオルでグルグル巻きにしなくていいので、水槽内がある程度見えるため気分的にも違います。この設備を設置して以来、オカヤドカリ飼育が格段に楽になり、最初からこの方法にしておけばよかったとつくづく思う今日この頃です。この保温方法は、一人でも多くの方に知ってもらいたいと思います。

オカヤドカリ:ウォーターバス全体図
ウォーターバス設備:全体図


オカヤドカリ:ウォーターバス横図
ウォーターバス設備:横から 観賞魚ヒーターで水を温め、エアレーションで回す。水温は、サーモスタットで管理。


オカヤドカリ:ウォーターバス正面図
ウォーターバス設備:上から 2つの水槽の縦横高さのサイズ差はあまりない、ギリギリ。だからこそGOOD!


オカヤドカリ:ウォーターバス蓋1
蓋は、まず、オカヤドカリ飼育水槽に蓋(付属品)をする


オカヤドカリ:ウォーターバス蓋2
次に、45cmの恒温水槽に蓋(自作:中央に穴をあけてある)


オカヤドカリ:ウォーターバス蓋3
最後に、断熱材(中央に穴をあけてある)
2015/01/27

オカヤドカリ冬越し奮闘記:ピタリ適温編

 オカヤドカリは、寒さに弱く、15℃以下が続くと死んでしまいます。また、鰓呼吸で鰓が常に湿ってなければならないため、乾燥にも弱いです。水槽内の湿気を保ちつつ、温度を25℃付近に保つことが、オカヤドカリ飼育における大きなポイントといえます。
 かつて、その保温にパネルヒーター「ピタリ適温」を使っていた時、私にとって冬場の管理は大変なものでした。保温すればするほど、水槽内は乾燥しました。保温と保湿の両立は難しく、爬虫類用の保温電球では、乾燥しすぎて保湿とは程遠く、論外でした。結局、空気を乾燥させにくい点でピタリ適温に行きくのは、オカヤドカリ飼育者にとってそれは必然といえるかもしれません。
 しかし、このピタリ適温、保温力が弱く、水槽の側面や蓋裏面や底面に一枚貼ったところで、効果が得られませんでした。思考錯誤した結果、水槽の2~3側面に貼り(枚数は時期によって調整)、さらに毛布で飼育ケースをグルグル巻きにすることで、ようやく真冬でも20℃以上を保つことができました。
 しかし、沢山張った故か乾燥が激しくなったため、水槽の蓋の上に濡れタオルを乗せてみました。ある程度は改善されましたが、ピタリ適温を貼った水槽側面付近の砂からジリジリと乾燥したため、朝晩霧吹き・濡れタオル交換は欠かせませんでした。心配なのは長期外出でした。私は仕事上、1週間程度の泊まりの長期外出が多かったため、霧吹きができない日も多かったです。脱皮時は常に不安がつのり、もし、潜ったところが水槽の側面付近(ヒーター付近)で、そこの砂が乾燥して脱皮室が崩れたらと思うと・・・。さらに、脱皮と長期外出が重なったら・・・・・ひいい!
 私は、かつては神奈川県横浜市に住んでいました。部屋の温度は早朝で7℃程まで下がり、昼間は日光が入り20℃近くまで上がりました。いかにピタリ適温に温度制御機能がついていても、この温度差にはなかなか対応できず、水槽内の1日の温度変化は激しかったです。砂の乾燥、長期外出(霧吹きできない)、脱皮室の崩れ、激しい温度変化。多くの不安を抱えながら、オカヤドカリを飼い始めて約6年間、かろうじてそれで乗り切ってきました。
 ある日転機が訪れました。仕事で秋田県に住むことになりました。神奈川県よりも遥かに寒い秋田県、現時点で手一杯なのにどうすれば・・・。

 そこで、新設備:ウォーターバスを思いつきました。
  オカヤドカリ冬越し奮闘記:新設備ウォーターバス編
2015/01/23

オカヤドカリの飼育方法:課題とポイント

オカヤドカリの飼育方法、
と言ってもいまさら語るまでもない。

最近では、オカヤドカリの飼育方法は多くのサイトで紹介されており、
飼育方法はかなり確立されてきているからだ。
私が今さら語ったところで、それらをまた復唱するだけの意味のないものとなってしまう。

そこで、
管理人がオカヤドカリ飼育において優良だと思ったサイトを紹介したうえで、
それを踏まえて課題、管理人のポイントを挙げていきたい。


基本的な飼育方法については、以下のサイトの通り。

みーばい亭: ナキオカヤドカリとムラサキオカヤドカリの成体飼育から繁殖まで。
          私が知る限りでは最もハイクオリティ。
ハーミットクラブ: オカヤドカリ飼育の歴史の第一歩!
Decapod Journal: オカヤドカリ飼育における注意点等を辛口に突く。ビシ!
オカヤドはん:オカヤドカリと雑文: 色々な実験。冴えます。
偏屈の洞窟: オカヤドカリ飼育の楽しみ方の教科書。管理人はこれに憧れて
           オカヤドカリ飼育を始めた。
オカヤドカリ飼育記: エサは落ち葉と昆虫中心。管理人と少し似ているかも?


しかし、これだけ情報に恵まれているにもかかわらず、
10年以上長期間飼育されている方が以外に多くないように感じるのは私だけだろうか。

その理由は、砂中で行う脱皮は他のエビカニ(水中で行う種類)と比較してデリケートであること(失敗しやすい)、冬場の保温と保湿の両立が意外と大変であるためだと管理人は考えている。
(マニアックで動きがなく飽きやすいというのもあるが、それは置いといて)


いかにして、この2つの課題を克服するか。
それが長期飼育成功のカギだと管理人は考えている。


@@@@@@@@@@@@@@@


管理人はずさんな飼育で、なんとかオジョウを10年以上過ごさせてきた(オカヤドカリ飼育10年迎える)。
しかし、ずさんとはいうものの、それなりにポイントは抑えてきた・・・。
そのポイントを挙げてみる。

管理人が挙げるポイント
@単独飼育
砂中で脱皮中のオカヤドカリはあまりにも脆弱。
別の個体に掘り起こされればひとたまりもない。死あるのみ。
水槽をいかに大きくしても、この危険性は0にはならない。
オカヤドカリは複数飼育に不向きな生き物だと個人的には思っている(繁殖を目指すのなら話は別だけど)。
少なくとも、このような事故で死んでしまった際、懲りずにまた新たに個体を補充する、という考えは止めるべき。
死亡→補充→死亡→補充・・・
この繰り返しじゃあ、あまりにも・・・(でも時々そのパターンを見かけるような)。
単独飼育だって、楽しいですよ(^_^.)


@温度はほぼ確実に25℃前後をキープ
重要!特に冬場。


@冬場の保温にはピタリ適温等パネルヒーターを使わない
ウォーターバスで保温する(一番のポイントかつ目玉なので後々で詳しく)


@サンゴ砂は使わない
サンゴ砂は美しいけど、比重が軽すぎる。脱皮室が崩れやすい。つまり脱皮事故が起こりやすい。→ウチでは珪砂(海でとってきたもの)を使っている。少しでもトラブル軽減のために。


@砂の湿り具合:表面は乾燥・数ミリ掘ればしっとり
オカヤドカリは鰓呼吸のため湿気が必要。だけど乾いた砂を好む。
乾燥しすぎ・湿りすぎのいずれでも死ぬので注意。


@エサは落ち葉メイン・カルシウムはしっかり与える
桜の木の落ち葉。エサの割合として7割以上はこれ。とにかくよく食べる。
栄養面は不明(これはいいのか?悪いのか?)。
カルシウムは欠かさない。


それぞれの詳細は後程・・・


続く→ オカヤドカリ飼育:冬越し奮闘記(ピタリ適温編)