樹脂の種類・比較:樹脂標本に適した樹脂は?
樹脂標本とは?
樹脂標本とは、一言で言うと、生物を樹脂で封入した標本です。虫や魚や植物を透明な樹脂で封入することにより、半永久的に保存することが出来ます。この方法で保存すると、手で触りながら、標本を色々な角度から観察することが出来ます。しかしながら、樹脂標本は、一度樹脂に封入すると、標本を取り出すことが出来ず、解剖などすることが出来なくなるため、標本としての価値は乾燥標本に比べて低いと言われています。樹脂標本は、確かに学術的な意味では価値は低いのですが、詳しい解剖などは専門家や大学等の授業でしか行わないし、標本をより美しく保存できる点、飾る場所を選ばない点では、乾燥標本よりも優れていると思います。樹脂標本を単なる「標本」の一つではなく、美しい「インテリア」として視点の幅を広めて楽しんでみてはいかがでしょうか。美しいインテリアとして、一人でも多くの方に知ってもらいたいと思います。

左から キイロトラカミキリ アカマダラハナムグリ ヒゲコガネ オオスズメバチ(女王)
樹脂の比較!樹脂標本に適した樹脂は?
樹脂標本に向いている樹脂は、どのようなものでしょうか?樹脂は、ネット通販、東急ハンズにも置いてあったりしますが、色々な種類があり、結局、どれがいいのか判断しかねるものがあります。そこで、どの樹脂が、樹脂標本に適しているのか比較、まとめてみました。比較対象は、主に比較的簡単に手に入れることが出来るエポキシ樹脂で行いました。
日新レジン クリスタルレジン(エポキシ樹脂)
昔から販売されている物です。2種の液(主剤と硬化剤)を混合して使用するものです。そのため、それなりに精度の高い秤が必要になります(まあ、それなりにです)。比較的安価なところは魅力的です。硬化後のカッティングも彫刻刀でサクサクできます。他のエポキシ樹脂と比べて、粘性が高いというのが特徴です。それゆえ、気泡が抜けきらない、流し込みを行う際、標本から出た気泡を除去することが困難な場合があります。粘性が高いため、標本への樹脂の喰い付きが悪い気がします。そのため、完成後、樹脂と標本の剥離が起こり、銀化しやすいです。銀化してしまった部分は観察が出来なくなってしまいます。また、透明度は・・・正直、私個人的にはイマイチと感じました。黄変もしやすいし・・・うーん・・・あまりおすすめできないな~(笑)

日新レジン クリスタルレジンⅡ(エポキシ樹脂)
クリスタルレジンを改良版で、こちらも2種の液を混合して使用します。クリスタルレジンよりも高価です。粘性が低く、気泡は抜け易く、標本への樹脂の喰い付きはいいので、樹脂と標本の剥離は起こりにくいです。また、透明度は極めて高く、黄変しづらいです。硬化後のカッティングも彫刻刀でサクサクと出来ます。ここまではいいことづくしですが、クリスタルレジンⅡには大きな欠点があります。それは、2種の液の混合時および混合後に「膜張り現象」が起こることがあります。メーカーに問い合わせてみました。すると、主剤に炭酸ガスが多く溶け込んでしまうと現象が起こるのではといわれているようですが、原因のすべては不明であるとの回答でした。古い樹脂で起こりやすいらしいです。「膜張り現象」が撹拌時に起こると、膜を巻き込んで撹拌するため、樹脂が白く濁ってしまい、使い物にならなくなります。また、寒い時期に作成するとこの現象の起こる頻度が高くなる気がします。なるべく新しい樹脂を使用すること、暖かい時期に作成することでこの膜張り現象は克服することができます。しかし、痛い痛い問題が・・・。実はこの商品は生産終了しています。今現在ではほとんど手に入りません。膜張り現象が原因か・・・。
日新レジン クリスタルレジンNEO(エポキシ樹脂)
メーカーの人曰く、クリスタルレジンⅡの「膜張り現象」を改善した樹脂らしいです。クリスタルレジンⅡの膜張り現象の一件でメーカーに問い合わせたら、お試しにということで、無料で頂きました(やったー!)。使用してみたところ、膜張り現象は全く起こりませんでした(ただし、クリスタルレジンNEOでも膜張り現象が起きたという報告もあるため、油断は禁物かも)。透明度、黄変のしづらさ、カッティングのし易さは、クリスタルレジンⅡと同等のハイレベルでした。その一方で、粘性はクリスタルレジンⅡとほとんど変わらないように感じるのですが、樹脂と標本の剥離がクリスタルレジンⅡと比べて起こりやすい気がします(本当に僅かの差。気のせいかもしれません)。クリスタルレジンⅡが生産終了になってしまった今、これが一番か!

テムコファイン 高透明レジン プロクリスタル880(エポキシ樹脂)
こちらも、2種の液を混合して使用するものです。粘性が非常に低く、気泡は抜けやすい、標本への樹脂の喰い付きは良好、硬化直後の透明度はクリスタルレジンⅡ、クリスタルレジンNEOと同等のスペックと感じました。しかし固い!樹脂の硬化後のカッティングは難航しました。何よりも、黄変が酷い。完成後、半年足らずで真っ黄色!難黄変と書いてありながら・・・これは絶対すすめられない。二度と買うものか!

UVレジン(アクリル樹脂)
紫外線に当てることで硬化する不思議な樹脂です。あまり一度に樹脂を流し込み過ぎると、紫外線が奥まで届かない故に固まらないという欠点があります。薄く薄く何度も流し込む必要があります。樹脂を何度も流し込むと、層が出来てしまい、標本の横からの観察の邪魔になり、何よりみすぼらしいです。そのため厚みのある作品には不向きです。樹脂標本の多くは厚みのある作品になると思いますので、お勧めできません。また、グラム単価が高いです。

不飽和ポリエステル樹脂
購入・使用し次第、執筆予定。
(硬化がかなり早いらしいです。単価が安いらしいです。)

樹脂標本に適した樹脂はこれ!
どれも一長一短があり、結局どれがいいの?という疑問に思われる方が多いと思いますが・・・やはり「クリスタルレジンNEO」だと。本当は「クリスタルレジンⅡ」を押したいものの、痛恨の生産終了。クリスタルレジンNEOでもクリスタルレジンⅡ同様の膜張り現象が報告されているので、あまり古い樹脂を使用しないこと(購入したらすぐに使い切ること)、なるべく暖かい時期に作成すること、これらに気を付ければ「膜張り現象」はまずないと思われるので、クオリティの高い作品に仕上がるでしょう。

樹脂標本の作り方は→樹脂標本作成方法まとめ
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樹脂標本とは、一言で言うと、生物を樹脂で封入した標本です。虫や魚や植物を透明な樹脂で封入することにより、半永久的に保存することが出来ます。この方法で保存すると、手で触りながら、標本を色々な角度から観察することが出来ます。しかしながら、樹脂標本は、一度樹脂に封入すると、標本を取り出すことが出来ず、解剖などすることが出来なくなるため、標本としての価値は乾燥標本に比べて低いと言われています。樹脂標本は、確かに学術的な意味では価値は低いのですが、詳しい解剖などは専門家や大学等の授業でしか行わないし、標本をより美しく保存できる点、飾る場所を選ばない点では、乾燥標本よりも優れていると思います。樹脂標本を単なる「標本」の一つではなく、美しい「インテリア」として視点の幅を広めて楽しんでみてはいかがでしょうか。美しいインテリアとして、一人でも多くの方に知ってもらいたいと思います。

左から キイロトラカミキリ アカマダラハナムグリ ヒゲコガネ オオスズメバチ(女王)
樹脂の比較!樹脂標本に適した樹脂は?
樹脂標本に向いている樹脂は、どのようなものでしょうか?樹脂は、ネット通販、東急ハンズにも置いてあったりしますが、色々な種類があり、結局、どれがいいのか判断しかねるものがあります。そこで、どの樹脂が、樹脂標本に適しているのか比較、まとめてみました。比較対象は、主に比較的簡単に手に入れることが出来るエポキシ樹脂で行いました。
日新レジン クリスタルレジン(エポキシ樹脂)
昔から販売されている物です。2種の液(主剤と硬化剤)を混合して使用するものです。そのため、それなりに精度の高い秤が必要になります(まあ、それなりにです)。比較的安価なところは魅力的です。硬化後のカッティングも彫刻刀でサクサクできます。他のエポキシ樹脂と比べて、粘性が高いというのが特徴です。それゆえ、気泡が抜けきらない、流し込みを行う際、標本から出た気泡を除去することが困難な場合があります。粘性が高いため、標本への樹脂の喰い付きが悪い気がします。そのため、完成後、樹脂と標本の剥離が起こり、銀化しやすいです。銀化してしまった部分は観察が出来なくなってしまいます。また、透明度は・・・正直、私個人的にはイマイチと感じました。黄変もしやすいし・・・うーん・・・あまりおすすめできないな~(笑)
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日新レジン クリスタルレジンⅡ(エポキシ樹脂)
クリスタルレジンを改良版で、こちらも2種の液を混合して使用します。クリスタルレジンよりも高価です。粘性が低く、気泡は抜け易く、標本への樹脂の喰い付きはいいので、樹脂と標本の剥離は起こりにくいです。また、透明度は極めて高く、黄変しづらいです。硬化後のカッティングも彫刻刀でサクサクと出来ます。ここまではいいことづくしですが、クリスタルレジンⅡには大きな欠点があります。それは、2種の液の混合時および混合後に「膜張り現象」が起こることがあります。メーカーに問い合わせてみました。すると、主剤に炭酸ガスが多く溶け込んでしまうと現象が起こるのではといわれているようですが、原因のすべては不明であるとの回答でした。古い樹脂で起こりやすいらしいです。「膜張り現象」が撹拌時に起こると、膜を巻き込んで撹拌するため、樹脂が白く濁ってしまい、使い物にならなくなります。また、寒い時期に作成するとこの現象の起こる頻度が高くなる気がします。なるべく新しい樹脂を使用すること、暖かい時期に作成することでこの膜張り現象は克服することができます。しかし、痛い痛い問題が・・・。実はこの商品は生産終了しています。今現在ではほとんど手に入りません。膜張り現象が原因か・・・。
日新レジン クリスタルレジンNEO(エポキシ樹脂)
メーカーの人曰く、クリスタルレジンⅡの「膜張り現象」を改善した樹脂らしいです。クリスタルレジンⅡの膜張り現象の一件でメーカーに問い合わせたら、お試しにということで、無料で頂きました(やったー!)。使用してみたところ、膜張り現象は全く起こりませんでした(ただし、クリスタルレジンNEOでも膜張り現象が起きたという報告もあるため、油断は禁物かも)。透明度、黄変のしづらさ、カッティングのし易さは、クリスタルレジンⅡと同等のハイレベルでした。その一方で、粘性はクリスタルレジンⅡとほとんど変わらないように感じるのですが、樹脂と標本の剥離がクリスタルレジンⅡと比べて起こりやすい気がします(本当に僅かの差。気のせいかもしれません)。クリスタルレジンⅡが生産終了になってしまった今、これが一番か!
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テムコファイン 高透明レジン プロクリスタル880(エポキシ樹脂)
こちらも、2種の液を混合して使用するものです。粘性が非常に低く、気泡は抜けやすい、標本への樹脂の喰い付きは良好、硬化直後の透明度はクリスタルレジンⅡ、クリスタルレジンNEOと同等のスペックと感じました。しかし固い!樹脂の硬化後のカッティングは難航しました。何よりも、黄変が酷い。完成後、半年足らずで真っ黄色!難黄変と書いてありながら・・・これは絶対すすめられない。二度と買うものか!
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UVレジン(アクリル樹脂)
紫外線に当てることで硬化する不思議な樹脂です。あまり一度に樹脂を流し込み過ぎると、紫外線が奥まで届かない故に固まらないという欠点があります。薄く薄く何度も流し込む必要があります。樹脂を何度も流し込むと、層が出来てしまい、標本の横からの観察の邪魔になり、何よりみすぼらしいです。そのため厚みのある作品には不向きです。樹脂標本の多くは厚みのある作品になると思いますので、お勧めできません。また、グラム単価が高いです。
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不飽和ポリエステル樹脂
購入・使用し次第、執筆予定。
(硬化がかなり早いらしいです。単価が安いらしいです。)
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樹脂標本に適した樹脂はこれ!
どれも一長一短があり、結局どれがいいの?という疑問に思われる方が多いと思いますが・・・やはり「クリスタルレジンNEO」だと。本当は「クリスタルレジンⅡ」を押したいものの、痛恨の生産終了。クリスタルレジンNEOでもクリスタルレジンⅡ同様の膜張り現象が報告されているので、あまり古い樹脂を使用しないこと(購入したらすぐに使い切ること)、なるべく暖かい時期に作成すること、これらに気を付ければ「膜張り現象」はまずないと思われるので、クオリティの高い作品に仕上がるでしょう。
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